ネフスキー大通りのカザン寺院。半円形の回廊、94本のコリント様式の柱、ナポレオン戦争に勝利した時の物、今は公園になている。

旅も長くなってくるとだんだん慣れてきて、緊張感がなくなってくる。 日本にいるような錯覚に落居ってくる。 ホテルが繁華街より遠いので手荷物をホテルに置いてから、また出てくるのは時間の無駄と考えて、自由行動に出た。 

寒いのでどうしてもトイレが近くなる。自由行動の時は近くのホテルを捜して、さも宿泊客を装い、ロビーのトイレを使わせてもらう。 しかしこのネフスキー大通りにはあいにく見つからない。 お連れが用を足している間、信号の所で待っていた。 

少し離れた所に、数人の若者がにやにやしながらこちらをみているのに気がついた。 厭なやつだ、と思って車道の方に体を180度振った。その時は気ずかなかった。町をぶらぶらしてお店など覗いたり、写真を撮ったりして、ホテルに戻る地下鉄で気がついた。 

背のリュックサックが20cm切られていて、中の物が見えているではないか。「あ、あの時」、慌てて中を確かめた。カメラ、フイルム、折りたたみ傘などめぼしい物はある、 取られたものはなさそう、そうか。あの時、体を動かして向きを変えたから、彼らはリュックを切るだけで、時間がなくなったのだ。 切っているのを見ていた連中が、にやにやしてこちらを見ていた理由が解った。 危ない所だった。 それでリュックだけで、他に被害がなくて良かった。 体でも切られていたら大変だった。 荷物を置いて行くように言った添乗員の言葉の意味が良くわかった。 

やはりロシアはまだまだひどい国だと。最近の新聞にもタクシーに一人で乗ると、人のいない田舎に連れて行き、身包み剥がされて放り出されるとか。また、「助けて!」と英語で叫んでも、みな知らん顔するとか、まだまだ怖い国ですね。 

夕食後、マリンスキー劇場でレニングラードバレーの観覧会があった。 カメラは持ち込み禁止といわれたので、1時間前の出来事があって持って行かなかった。 
外国人で満員だった。 外国人はみなところかまわず写真を撮っているではないか。 

劇場の内部は美術館のように絵画や彫刻がすばらしかったのに、日本人は真面目だなあと思った。夏のバレーは有名なバレリーナは海外公演に行っていることが多く、本場とはいえまあまあかなというところでした。 さっきの出来事もあり楽しさ半減でした。

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